プロローグ


黒い大陸にある大きな町の近くで爆発音が響く。
黒い悪魔と称されたアイアンコングガイロス仕様のブラック・コングが
小型ゾイドを相手に奮戦している。
轟音とともに肩のランチャーからミサイルが飛び出す。
その音とともにコングの周辺に残骸が折り重なる。
「コングが奪われ現在こちらに向かっている。緊急徴収した小型部隊は全滅。
ダーク・ダガー隊、全機発進せよ。」
コックピット内にある通信機の言葉を聞き、機体を起動させるパイロット。
「了解。アルフレッド中隊発進する。」
隊長機からの言葉に反応して各格納庫のガレージが次々とオープンする。
格納庫から改造セイバータイガーが3機、改造ヘルキャットが2機飛び出す。
「第3戦隊は後方、アダールは私とともに前衛だ。以上。」
『了解。』
隊長機アルフレッドのもとに各機から返答が帰ってくる。
それを聞いたアルフレッドは愛機のスピードを上げる。
「ちぃ!!たかがセイバーなんかに!!」
操縦席の男が悲鳴にも似た叫びをあげる。
目の前に現れたアルフレッド中隊に焦りの色が伺える。
男は状況に対応できず手に握られた操縦間をやたらめったら動かす。
それに反応して男の乗るブラック・コングが無造作に暴れ出す。
「ヒィル!注意を逸らせ!!」
黒いセイバータイガーATに乗るアルフレッド中佐が、目の前の
ブラック・コングを牽制しながら命令する。
「了解!!」
ヒィルの返事とともに少し離れた場所にいた改造ゾイド、ハイブリット・セイバー
とハイ・バスターのキャノンが火を噴く。



火の雨のような弾丸がブラック・コングを包み込む。
ハイブリット・セイバーの攻撃と同時に退避していたアルフレッドが
第2戦隊隊長のアダール・オルトと合流する。
「行くぞアダール!!」
「まかせな!」
その言葉を合図に2機のグレート・セイバーがブラック・コングに
向かって突進する。
それと同時にハイブリット・セイバー部隊の砲撃が止む。
砲弾の雨をくらい、さすがのブラック・コングも動きが鈍くなっている。
「そんな砲弾ぐらいでこのブラック・コングがたおせるとでも……!?」
男が言葉を言い終える前にモニターいっぱいにタイガーの顔が映る。



「………!!」
次の言葉を発する前に事切れていた。
なぜならアダールの乗るセイバーのレーザーサーベルがブラック・コングの
コックピットに食い込んでいたからだ。

 
  第1話 前兆 バトストMENUに戻る