本土防衛 海上編
暗黒(ニクス)大陸、南西部最大の基地であるエントラス基地。 過去、共和国軍がここに基地を建設した事から始まり、現在ではガイロスと帝国軍の 最重要拠点となっていた。 そのエントランス基地にけたたましく鳴り響くサイレン。 基地のあちらこちらで厳しい顔つきで動きまわる兵士達。 これはトライアングルダラス方面に向かった偵察部隊からの一本の通信から起きた。 「ブラキオス第2艦隊発進準備が整いました。ウオディック部隊は第703戦隊が同行 できます。他は随時発進準備を進めているとの事です」 「空軍は何をもたついているのか・・・・!! 昼寝でもしていたんじゃないだろうな!?」 司令官らしき男が、空軍の出足の悪さに苛立ちを見せる。 『我々とて遊んでいるわけではない、教導訓練中だったために装備換装で時間がか かっている。奴等が来るまでには準備が整う。信用して頂きたい』 空軍の士官が額に汗を浮かべ、焦燥感に駆られながら言う。 「もしもの事があったら空軍で後始末をつけて頂きますからな!!」 そういって通信を切る司令官。 上層部の連携の悪さをよそにそれはやってきた。 ガイロス帝国領空に侵入した2機のキメラドラゴン。 その頃には緊急スクランブルで飛び上がっていたレドラーBC部隊が、その姿を捉える とともに攻撃を仕掛ける。 レドラーBCとフライシザースが激しい戦闘を繰り広げる中、1機のキメラドラゴンが 戦闘空域から離脱して大陸へと向かおうとする。 「大陸に入れるな、落とせ!!」 ブラキオス第2艦隊司令が叫ぶように指示をだす。 司令の言葉を合図に、飛び出したキメラドラゴンへ集中砲火を浴びせるブラキオス艦隊。 「対Eシールド手甲弾よーい・・・・てっ!!」 特殊鉄鋼弾がキメラドラゴンに向かって放たれると、張り巡らされたEシールドを 突き破ってキメラドラゴンの体を貫通する。 煙を噴きながら落下するキメラドラゴン。そのまま海面に叩きつけられて沈んでいく。 「相手はキメラだ、油断せずに敵の位置を確認せよ」 艦隊司令の指示の元、海上のブラキオス艦隊と海中のウオディック艦隊が、撃墜の 確認の為に辺りを捜索する。
「こちらU23。レーダーに反応なし。引き続き警戒します」 艦隊司令に状況報告をすると、再び辺りを警戒する。 「・・・・ん?」 前方奥のほうに光る点を確認する。 「こっちか?」 そう言って慎重に近づく。 センサーが解析データと補正済みの画面をモニター表示する。 その為にモニター周辺の海の中は、透明度が高い事もあって異様に明るく数百メー トル先まで見渡せる。 肉眼でも確認できるキメラドラゴンのシルエット。 「キメラドラゴンを確認、座標を送ります」 パネル操作をチョチョイと済ませて再び正面を見る。 「ん? なっ!?」 突如として何個かの物体がU23を襲う。 何とか回避行動でかわすとビーム砲で応戦するウォディックU23。 「な、なんなんだよ!!・・・・ひっ!?」 水中の中を悠々と泳ぐキメラドラゴンが、U23に2本のスピアを突き立て て体当たりする。 胴体を貫かれたウオディックは、破損個所から泡を吹き、ミシミシと音をたててひ しゃげ、沈んでいく。
「奴は健在だ、注意を怠るな!!」 味方のフレンドリー信号が消滅した事を確認すると、ウオディック艦隊指揮する ダークネシオスのパイロットが各艦に注意を促す。 周囲を警戒するブラキオス、ウオディックの両艦隊。 ピーッと警戒音がブラキオスのコクピット内にけたたましく鳴り響く。 慌ててレーダーを見るパイロット。 近づく機影を確認する。 「ちっ、爆雷投下の準備を・・・・」 愚痴りながら画面とコンソールを交互に見ながらいじるパイロット。 その合間に機体が大きくゆれる。 「うわぁ!!」
爆雷投下の準備をしている間にキメラドラゴンが、ブラキオスに襲いかかる。 巨大なあごと強靭な牙がブラキオスの装甲ごとを噛み砕く。 反撃を試みようと背中のビーム砲を放つが、水柱がむなしく上がる。 次第に動きの鈍くなったブラキオスごと海中に潜るキメラドラゴン。 「よくも・・・・!!」 そう叫びながらキメラドラゴンに接近するウオディックのパイロット。 ビームを撃とうとするが、ブラキオスを盾にされて撃てない。 そのまま接近してくるキメラドラゴン。 その時、別方向からビームが走る。 『B2、こっちに任せろ』 思わぬ方向からのビームを受けて、ブラキオスを離すとビームの走った方向へ反転 するキメラドラゴン。 もう1機のウオディックを確認すると同時に襲いかかる。 「隊長うまくよけてくださいよ、ベフェスタの分だ!!」 倒された仲間の名を叫びながらビームを放つ。 だが、難なくよけられてしまう。 「くそっ!!」 『ビック、汗るな!! 周りとの連携を・・・・』 通信機の声に耳を傾けず、そのまま体当たりを敢行するビック。 突撃してくるウオディックに反応して対峙するキメラドラゴン。 「所詮は場当たり的な対応しか出来ない様だな」 ダークネシオスのパイロットは残念そうに言うと、ビームの発射トリガーを引く。 それに気づいたビックのウオディックは、突撃を止めて途中で上昇する。 突然の上昇に思わず追いかけようとするキメラドラゴン。 それを阻止するようにダークネシオスの放ったビームが機体を貫く。 そこへ反転し、再び接近するビックのウオディックが魚雷を放つ。
無数に放たれた魚雷は、動きの鈍くなったキメラドラゴンに命中し、爆発音と 気泡が辺りを包み、機体の破片が散乱する。 しばらくして大きな爆発音とともに水圧が海上へと突き上げ、大きな水柱を立てた。 「水柱を確認、警戒後、帰還する。以上」 そういって艦隊司令が基地へ報告する。 「周辺域の警戒を怠るな。やつらは再生能力が高い上に命令重視でしぶといらしいからな」 そういって両艦隊を率いて警戒するダークネシオス。 しばらく水柱の周辺を捜査した艦隊は、敵機が完全に沈黙した事を確認すると、 ウオディック、ブラキオスの両艦隊は、エントランス湾へと引き返していくのだった。
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